会社設立手続きの流れ
主な手続きの流れ
(1)事前準備
- 事業計画(必要であれば発起人決定書等を残す)
- 助成金・補助金等の制度調査
- 資本金(実際に必要になるお金)
- 印鑑登録(印鑑証明書取得に必要)
- 自分の銀行口座(資本金を払い込むための口座)
- 電子申請用ツール(ICカードリーダー、PDF用ソフト等)
- 会社の3種類の印鑑(代表者印・銀行印・角印)
(2)定款の作成
- 電子定款で作成する
(3)定款の認証
- 株式会社の場合のみ
(4)資本金の払い込み
- 登記前なので、自分の個人口座で良いのですが、払い込まれたという履歴が必要なので、資本金の金額を新規に預け入れ、または他口座から振り込む必要がある
(5)登記申請
- オンライン申請で行う
(6)登記完了後
- 印鑑カードの交付
- 会社の印鑑証明書
- 会社名義の銀行口座の開設
その他
各課程で必要な書類等はこちらを参照してください
会社設立に必要な書類
必要書類一覧
No. | 書類 | 説明 | 必須 |
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1 | 定款 |
電子定款を前提で考えますので、定款はPDFファイルになります。 PDFファイルには電子署名する必要があり、そのためにはAcrobatのプラグインが必要になります。つまりAdbe Acrobat(有料)の購入が必要です。 また、認証が必要な株式会社の場合のみですが、公証役場に電子申請が可能です。その際にはICカードリーダーと「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」にある申請用総合ソフトが必要です。 |
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2 | 印鑑証明書 |
発起人個人の印鑑です。定款認証の際に必要になりますが、確認中(電子定款の場合は印鑑の代わりに電子署名をするため不要です。ただし発起人が複数いる場合には、電子署名は代表者の情報で行い、他の発起人からは委任状とともに各人の印鑑証明書が必要になります。) 認証しない場合でも登記申請で必要になるため、申請の3ヶ月以内のものを用意しておく必要があります。 印鑑は事前に区役所等に登録しておく必要があります。登録すると印鑑登録証が交付されるそうです。この状態でマイナンバーカードがあれば、交付自体はコンビニで行えるそうです。(窓口では申請書の記入が必要) |
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3 | 払込証明書 |
設立時の資本金の存在を証明する書類です。この書類とともに払込を示す通帳のコピーが必要です。 ・会社設立前なので、口座は自分(発起人)個人の口座です。 ・払込は「定款認証以後」の日付でなければなりません。 ・ネット銀行の口座の場合でも画面を印刷すればOKのようです。 |
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4 | 登記申請書 | 登記や登記時に提出する書類の概要をまとめた書類で、ワード等で自分で作成します。 | ● |
5 | OCR用申請用紙 |
OCR読み取りのための用紙を法務局で配布していたようですが、現在は配布を取りやめており、電子定款の申請同様、登記ねっとの申請用総合ソフトからオンライン申請することが推奨されているようです。 登記申請書含め、オンライン申請については下記のを参照してください。 |
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6 | 発起人決定書 |
発起人が複数いる場合には、「発起人会議事録」という名前で作成し、申請時に添付書類として提出します。 この書類は、設立に当たって決定、同意した内容を残しておくために作成するもので、主に下記のような事柄を記載します。 ・会社名や本店所在地の決定 ・発起人の株式の割り当てや出資額の決定 ・代表者の決定 ただしこの書類は、定款に定めていない事柄がある場合に必要で、定款に全て記載されている場合には不要なようです。 例えば本店所在地は定款には移転時の便宜上、区までしか記載しないようにすることが可能ですが、登記時には厳密な住所の情報も必要なため、発起人決定書に記載します。 |
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7 | 就任承諾書 | 代表取締役や代表社員などに就任した人から提出してもらう必要があります。発起人が自分しかいない場合でも必要だそうです。 | ● |
8 | 本店所在地決定書 |
基本的には発起人決定書と同じ趣旨で作成される書類と考えて良いようです。 定款や発起人決定書でも本店所在地が決定されていなかった場合には必要と思われます。 個人的には定款とこの本店所在地決定書で良いと思っています。 |
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9 | 資本金の額の計上に関する証明書 |
現物出資がある場合に作成する書類です。 例えば現金では100万円しかなくとも、パソコンや車などの現物を出資することで、その価値分を資本金に加えることができるそうです。 ただし、当然のことながら、その現物の価値を算出した根拠を明確にする必要があり、別途「調査報告書」と「財産引継書」が必要になります。 資本金が小さい場合には魅力的に感じられる仕組みですが、個人的にはひとまず不要な書類と考えておきます。 |
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10 | 調査報告書 | No.9の通りです。 | |
11 | 財産引継書 | No.9の通りです。 | |
12 | 印鑑届出書 |
印鑑証明書とは別の書類で、会社代表印として法務局に登録される会社実印の情報を提出する書類です。 提出の際、代表社員の個人の印鑑証明書が必要ですが、就任承諾書に添付する印鑑証明書で代用できるようです。 ちなみに会社としては通常3種類の印鑑(代表者印・銀行印・角印)を作成するそうですが、代表者印は登記申請の添付書類にも必要になるため、会社名等が決定次第早めに用意しておいた方がよさそうです。 |
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13 | 印鑑カード交付申請書 |
会社の「印鑑証明書」や「登記事項証明書」などが必要になった際に、発行手続き時に提出する必要があるカードだそうです。 これは登記完了後に提出しカードを交付してもらうための書類ですが、会社用の銀行口座開設など、比較的すぐ必要になりそうですので、会社設立時には必須の書類と考えておいた方が良さそうです。 |
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会社設立に必要な費用
公的手続きで必要な費用
合同会社であれば6万円、株式会社であれば20万円が目安です。
これについては、こちらをどうぞ。
資本金について
会社を資本金1円から設立できるようになった、という話をよく聞きます。
自分も会社設立のことや、資本金のことをよく知らないうちは、これはとても素晴らしいことだと漠然と思い込んでいたのですが、実際のところは、ほとんどの場合何の意味もないことがわかりました。
例えば資本金1円で設立した場合、会社として使えるお金は1円しかないという意味です。これは机1つも買うことができないということです。何かを買うためには、増資といって、結局後から資本を増やす手続きが必要になります。
従って、会社設立時には公的な手続き費用以外に、ある程度の資本金が実際に必要になると考えた方が良いと思います。
当然事業内容によるのですが、最低でも100万円〜300万円程度が常識的な最低ラインのように思います。個人的には資本金100万円を想定して準備していくつもりです。
会社の本店所在地について
この件についての詳細は別ページでまとめる予定ですが、簡単に候補をまとめると以下の通りになります。
- 自宅(0円)
- バーチャルオフィス(住所貸し)(数千円〜)
- シェアオフィス(フロアをシェア)(数万円〜)
自宅であれば追加の費用が必要ないのと、家賃を経費として計算できるので、当初は自宅で開業するのが費用的には一番良さそうだと個人的には考えていますが、いずれの場合も自分だけ、または少人数で仕事する場合に限られそうです。
設立後に想定される諸経費について
会社設立前であっても、設立後の費用も知っておく必要があると思います。想定していない費用がかかると、当然ビジネスモデルが成り立たなくなるからです。
特に個人的に重要だと思うのは人件費です。時給や月給といった直接支払う給与のみを計算しがちですが、社会保険や退職金を考えると、給与の1.5〜2倍は想定しておいた方がよさそうです。
最初は小さな会社として設立するとしても、ビジネスモデルとしては余裕を持って計算しておくべきで、個人的には人件費は給与の2倍で算定するつもりです。
自分自身の報酬について
十分資産を持っていたり、別に収入があれば良いのですが、自分の資産をつぎ込んで資本金に当てる場合、当然ながらその資本金の中から自分への給与(役員報酬)を支払う必要がありますので、起業間もないうちは注意が必要です。つまり収益を出せないと、自分への給与で会社が潰れるということにもなりかねないわけです。
当たり前のこととはいえ、調べたり準備を始めてみて初めて気づくこともあるものです。
このことから、やはり資本金の準備が大事だということと、融資を受けられるようなビジネスモデルなのか、ということを冷静に判断する必要があるということがわかります。
利益なしの場合の税金について
会社として支払う必要のある税金は主に3つです。
- 法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
このうち、法人税と法人事業税は利益がある場合のみ支払う必要があるもので、利益がなければ支払いはありません。
しかし法人住民税は、資本金や従業員数、事業所の数など、会社の規模に応じた額を均等割で支払う必要があり、会社の利益がなくても最低でも都道府県の均等割で2万円、市町村の均等割で5万円の、計7万円は必ず毎年支払う必要があります。
さすがに資本金1円でできるからといって、なんとなく会社設立してみた・・・ではすまないということです。
合同会社と株式会社の比較
設立時に必要な費用の比較
以下の表では、電子定款の場合で比較しています。
合同会社 | 株式会社 | |
---|---|---|
定款認証 | 0 | 50000 |
謄本(1枚) | 0 | 250 |
収入印紙 | 0 | 0 |
登録免許税 | 60000 | 150000 |
合計 | 60000 | 約200000 |
合同会社は定款認証が不要
会社の種類によらず、登記するには定款が必要ですが、株式会社と違い合同会社は認証が不要なため、その費用も不要です。
そもそも定款認証とは
作成した定款の原本は会社で保管しておくものですが、作成しただけでは法的には何の意味もない書類です。そのため、公証人にお願いして、作成した定款が法的に有効なものであることを証明・認証してもらいます。
なぜ法的な認証が必要かというと、株式会社の場合は「所有と経営の分離」という考え方に基づいた組織形態だからです。株主(所有)と経営者(経営)といった、立場の違いによって争いが生じた場合に、会社の基本ルールである定款が勝手に作成されたり修正されたりしてはマズイため、ということです。
そういう意味で、合同会社の場合は、所有者と経営者(社員)が同一であるため、その類のトラブルが起きづらいので、認証も不要ということのようです。
謄本について
謄本とは、簡単にいうと定款のコピーです。原本は会社で保管するため、公証役場で保管するためのコピーが必要になります。合同会社では認証が不要なため、この謄本代も不要になります。
一般的な説明では、謄本代として2000円程度と説明している場合が多いのですが、これは定款が8枚構成と想定しているということです。
当然のことながら、自分の会社の定款の枚数によってこの金額(250円×枚数)は変わります。
収入印紙について
紙の定款で提出する場合に必要なものです。電子定款の場合は不要ですが、申請手続きをインターネットを通して自分で行う必要があります。
公証人について
公証人は全国各地の公証役場と呼ばれる役場にいます。
ちなみに、この公証人は公務員に当たるものの、お給料ではなく手数料で稼ぐ独立採算制だそうです。
また、公証人は一応資格なので、資格試験を通ればなれるようですが、その試験が行われたことがないそうです。
なぜかというと、公証人になるのは元裁判官、元検察官、元弁護士など、法律関係にいた人々の中から法務大臣によって選ばれてきたからだそうです。
これ要するに、天下り専用の職業なんですね・・・。
実働10分で5万円稼げる天下り先「公証人」を知ってますか(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)
登録免許税について
表を見れば分かる通り、株式会社と合同会社で一番大きく異なる費用が登録免許税です。
登録免許税は、合同会社も株式会社も、基本的には資本金 × 0.7%で計算するのですが、最低額が決まっており、それが表にあるそれぞれの金額です。
登録免許税というのは、登記する際に必要な税金(登記代)です。
会社を作ったと勝手に言っていても、登記されていなければ、公的には会社とは認められないため、「法人」格は得られません。つまり法人としての税制も、社会的な信用も得られないということです。
創業支援制度による減免
各市町村で、創業支援制度を設けている場合があり、それによって登録免許税の減免を受けられる場合があるようです。
創業時には調べてみる価値がありそうです。
費用のメリットを考えると、合同会社からと考えたいところですが、こういった制度が利用できれば、当初から株式会社という考えも視野に入ってきます。
会社設立準備ノートの目次
-
申請用総合ソフトによる申請の仕方
-
融資について